ごあいさつ
IMCCDを応援して下さる皆様に心から感謝申し上げます。
1992年~93年にかけて、私はカンボジアにおける国連平和維持活動(カンボジアPKO)に自衛官として赴任いたしました。そして6ヵ月の任期が終わり帰国する際、機内の小窓から、遠のいていくメコン河やヤシの木が点在するカンボジアの大地を眺めながら、「自分は、この半年間何ができたのだろうか」と、自問自答していました。その答えは、「何もできはしなかった」との悔しさであり、納得がいかない思いが残りました。「もう一度ここに戻って来よう。そしてやり残したことをやろう」と自分に誓いました。
それから10年が経ち、2002年、自衛官を定年退官した3日後には、再びカンボジアに向かう飛行機に乗っていました。眼下に広がるカンボジアの大地を見下ろしながら、戻ってきたことの嬉しさ、自分への約束を果たしたような心境でプノンペン空港に降り立ちました。
当初はベトナム国境付近で不発弾処理活動を行っていましたが、2006年からは、タイと国境を接する地域で地雷・不発弾処理活動を行うようになりました。この地域で活動するようになった理由は、「地雷が一番多く埋設されていて、最貧困の村で活動したい」という私の希望に対して、カンボジア地雷対策センター(CMAC)のラタナ長官が、カンボジアの北西部にあたるバッタンバン州カムリエン郡タサエン地区を指定したためでした。
村に入って感じたことは、やはり地雷被災者が多いというのはもちろんでしたが、道路も最悪で、エイズやマラリア、デング熱が多発していて、村人はわずかな畑で細々と農業を営み、働く場所がないため、隣国タイに売られていく女性もあるなど、とにかく劣悪な環境だということでした。
タサエン地区だけでも1ヘクタール以上の地雷原が60箇所はあるとのデータを、タサエン地区の責任者に見せられた時、何とか6~7年かけて除去できればと思っていました。しかし現実には、カンボジア政府が指定した地雷原以外にも、畑や民家などあらゆる場所に地雷が埋まっており、10年以上経過した現在もまだ地雷除去を続けなければならない状況です。
なぜ危険を冒してこのような活動をするのですか・・・と聞かれることがしばしばあります。その理由について強いて言えば、内戦という状況の中で埋められた地雷は、やはり人間が犯した過ちだと思います。その過ちを子や孫の代まで放置してはならない、人間が犯した過ちは、人間が正さなければならないという思いからだと思います。
また、活動を継続していく中で「地雷・不発弾処理活動が最終目的ではない。地域が安全になって、そこに暮らす人達が生活できるための地域復興が不可欠である」と気が付きました。そうして、農業や地場産業の発展を広げる活動の必要性を感じるに至りました。
内戦という厳しい環境にさらされた地域で、戦後処理をやりながら平和の尊さを訴え続け、「どうしたら戦争や紛争のない社会が構築できるか」という現実的な平和構築の種まきを世界に広げていきたいと思っています。
激しい戦火のあった地域で黙々と地雷や不発弾という負の遺産と向き合いながら、空想的な平和論ではなく、現実的な平和論を訴えて「平和の種をまく」活動がIMCCDの使命だと思っています。
引き続き、皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。有難うございます。
「地域発デジタルコンテンツ2015」 総務大臣奨励賞受賞作品
愛媛県立松山工業高校 放送部 『ター』
経歴
1947年、愛媛県北宇和郡三間町(現宇和島市)出身。
陸上自衛隊に36年間所属し、施設科部隊(地雷等に携わる部隊)に勤務。
1992~93年、「カンボジアPKO」に参加、以降カンボジアに特別な思いを抱く。
2002年5月、定年退官と同時に「日本地雷処理を支援する会(JMAS)」に参加、理事。
カンボジア現地副代表として現地での不発弾処理活動の立上げを行う。
2004年9月、帰国。 愛媛でJMASの広報活動を行いながら地雷処理事業の立上げを準備。
2006年2月、カンボジアに再入国し地雷処理事業の立上げのための調査・現状把握を行う。
2006年6月~2010年12月、「住民参加型地雷処理活動」を同国バッタンバン州で実施。
2010年12月 JMASを退任。
2011年2月 カンボジア王国中央政府機関 CMAC(カンボジア地雷対策センター)より地雷処理技術顧問に任命。
同月、カンボジア王国バッタンバン州議会より、復興担当顧問に任命。
2011年7月 NPO法人「国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)」設立。
2014年6月 カンボジア王国タボンクモン州議会より、復興担当顧問に任命。
受賞歴
2007年 2月 南海放送賞
2009年11月 国際奉仕賞 (公益財団法人ソロプチミスト日本財団)
2010年 3月 テレビ愛媛賞
2011年11月 社会貢献者賞(公益財団法人社会貢献支援財団)受賞者ページへ
2013年 6月 カンボジア政府表彰
2015年 1月 シチズン・オブ・ザ・イヤー特別賞(シチズンホールディング株式会社)受賞者アーカイブへ
2015年12月 第9回かめのり賞 受賞(公益財団法人かめのり財団)※IMCCDでの団体受賞 かめのり賞のページへ
2016年 2月 第3回プラチナ・ギルド アワード 受賞(特定非営利活動法人プラチナ・ギルドの会)受賞者ページへ
2016年11月 READY FOR OF THE YEAR 2016 シルバー部門賞
「カンボジアに眠る600万個の地雷から村人の命を守りたい!」受賞者ページへ
2016年12月 第20回地球倫理推進賞 【国際活動部門】受賞者ページへ
文部科学大臣賞 同時受賞 ※IMCCDでの団体受賞
2017年2月 松山市市民活動推進事業 【市民活動に対する表彰部門】
受賞者ページへ ※IMCCDでの団体受賞
2018年11月 社会貢献者賞(公益財団法人社会貢献支援財団)
【過去の表彰者(2011年11月受賞)の中から顕著な功績者として受賞】
2019年9月 志大賞(一般社団法人志教育プロジェクト)
2020年 1月 愛媛新聞賞 メディア掲載へ
2021年11月 千嘉代子賞(公益財団法人ソロプチミスト日本財団)
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2022年2月 愛媛トヨタランクル文学賞 特別賞「苦楽を共にした相棒」
受賞者ページへ(愛媛トヨタ自動車株式会社)
2024年8月 外務大臣表彰
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